長野県上田市、別所温泉を中心に広がる塩田平。
この地には「信州の鎌倉」と呼ばれるほど、鎌倉時代の歴史や文化が色濃く残されています。
鎌倉幕府の連署を務めた北条義政は、鎌倉を離れた後、この地の塩田荘に籠居しました。その系統は「塩田北条氏」と呼ばれ、塩田平を約60年にわたって治めます。
実際に歩いてみると、塩田城跡、北条氏の庇護を受けた安楽寺、鎌倉の建長寺へとつながる禅僧たち、そして国宝・八角三重塔などなど。想像以上に、ここには「鎌倉」が残っていました。
鎌倉から遠く離れた信州で見つけた、もう一つの鎌倉を巡ります。
目次
信州の鎌倉(塩田平周辺)
別所温泉の北向観音をお参りした後に、周辺を散策して、いろんな鎌倉繋がりを見つけてきました。
別所温泉にある安楽寺でまさかの三つ鱗。ここら辺は塩田とも言って、塩田流北条氏が治めてたとか。
— kago@鎌倉 (@KagolaboJp) November 13, 2020
塩田流は北条重時(義時3男)の5男義政が祖。
またえらい鎌倉繋がりを見つけてしまった😅#鎌倉 #塩田 #北条氏 pic.twitter.com/TppbchLqAC
塩田北条氏とは?
北条義政を祖とする一族。その後は、国時-俊時、と伝領し、鎌倉幕府滅亡まで3代60年続きました。
北条義政(祖)
1242-1282年。鎌倉幕府の第6代連署。執権は北条時宗。
鎌倉時代の北条氏一門。北条重時(2代執権北条義時の3男)を祖とする極楽寺流北条氏の一支流。
北条義政は北条重時の5男。信濃国塩田荘を領した。
| 西暦 | 年齢 | 出来事 |
|---|---|---|
| 1242年 | 北条(極楽寺)重時の子として生まれる | |
| 1265年 | 24才 | 引付衆となる |
| 1267年 | 評定衆に加えられる | |
| 1268年 | 新体制|執権:北条時宗-連署:北条政村 | |
| 1269年 | 三番引付頭人となる ※引付頭人|執権・連署に次ぐ要職、裁判の指揮を執る | |
| 1272年 | 31才 | 二月騒動 |
| 1273年 | 6代連署に抜擢(5代連署、政村の死による) | |
| 1274年 | 文永の役 | |
| 1276年 | 出家し、鎌倉から出奔。信濃善光寺に詣で、所領の塩田荘に籠居。 | |
| 1277年頃 | 安楽寺再興 | |
| 1281年 | 40才 | 塩田荘にて死去 |
北条(塩田)義政が、生きた時代は文永の役の真っ最中で大変な時期だったんですね。
心労やストレスは想像を絶するものだったのはないでしょうか・・・。
塩田城(居城)
塩田平には、塩田北条氏三代(約60年間)の居城「塩田城」もあった。南北朝からは村上氏の支配へ。
安楽寺
伝承では天平年間(729-749)行基の建立と伝わるが判然としない。
歴史的に裏付けされるのか、下記の臨済宗の僧「樵谷惟仙」が住してから。
鎌倉時代中期には相当の規模を誇った禅寺で、信州学海の中心道場だったよう。鎌倉北条氏の外護もあった。
建長(鎌倉の建長寺)と塩田(安楽寺)とは各々一刹により、或は百余衆 或は五十衆、皆これ聚頭して仏法を学び、禅を学び、道を学ばんことを要す云々。
大覚禅師語録(建長寺開山蘭渓道隆)
安楽寺は、建長寺と同格と記されていることは、なんとなく分かります。
詳しく知りたいのですけど、文献が高いか、出回っていないか・・・・
樵谷惟仙(しょうこくいせん)
信濃出身の臨済宗の僧。
13世紀半ば(鎌倉時代中期)に宋へ留学し、1246年 建長寺を開山した「蘭渓道隆」と同船帰朝した。


11月中旬、山門手前の道は見事な紅葉で色づいていました。

安楽寺の本堂です。
寺紋は、鎌倉市でよく見かける北条氏の三つ鱗。まさか上田市別所温泉で見られるとは思ってもいませんでした。塩田という地名も今回初めて知りました。


国宝 八角三重塔
鎌倉時代末期(1290年代)に建立された、日本国最古の禅宗様建築。
※ちなみに、鎌倉の円覚寺にある舎利殿は、室町時代中期頃の建築物と推定。
長野県の国宝
長野県には国宝が10件しかありません。(ちなみに鎌倉市の国宝は14件)
有名なところでは、善光寺本堂(長野市)、松本城天守(松本市)でしょうか。
最近ハマっている考古学分野では土偶(縄文のビーナス、仮面の女神|ともに茅野市)が2件も。


国宝 安楽寺 八角三重塔を見るには拝観料が必要になります。大人300円。
本堂だけなら不要です。
訪問した日時は、2020年11月12日。写真にあるように紅葉が奇麗なシーズンでした。

常楽寺
天台宗の寺院。北向観音の本坊。別所温泉駅から約700m。
「信州の学海」と呼ばれた塩田荘で、中核を担う寺院だった。
安楽時の開山「樵谷惟仙」は、16歳までこの常楽寺で天台宗の修行をしたと言われている。
また、1292年、称名寺(金沢文庫)の僧がこの寺で「十不二門心解」という経を書写した。
信州の鎌倉 塩田平(長野県上田市)|YouTube
塩田平と別所温泉周辺の名所(塩田北条氏ゆかりの地)をコンパクトに巡っていますのでご覧ください。
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この記事に関連する書籍の中から、KAGOLABOがおすすめする3冊をご紹介します。
🥇 塩田平・別所温泉を実際に歩くなら
塩田平や別所温泉を訪ねる旅のお供に。上田周辺だけでなく、長野県内の観光・グルメ・温泉情報もまとまっているので、歴史散策とあわせて信州旅行を楽しみたい人におすすめです。
🥈 鎌倉幕府の「執権・連署」をもっと知る
塩田北条氏の祖・北条義政は、北条時宗が執権を務めた時代に「連署」に就いた人物です。
鎌倉幕府を動かした将軍・執権・連署の人物関係や役割を知ることで、義政が幕府内でどのような立場にいたのかをより深く理解できます。
🥉 北条時宗の時代をドラマで楽しむ
北条義政が連署を務めた時代の執権・北条時宗を主人公にしたNHK大河ドラマ。
元寇をはじめ、鎌倉幕府を取り巻く政治や北条一門の人間模様を映像で楽しみたい人におすすめです。義政が生きた時代をイメージする入口にも。

