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二階堂行政(にかいどう ゆきまさ)
二階堂行政は鎌倉時代前期の鎌倉幕府役人。13人の合議制の一人。
二階堂氏の祖なんですけど、生没年が共に分かっていません・・・。
鎌倉幕府でも文士側ということで、地味な人物ですけど、深堀って面白かった箇所を数点纏めてみました。
大河ドラマ「鎌倉殿の13人」では、野仲イサオさんが演じられます。
二階堂行政周辺の系図
まずは鎌倉幕府のお偉いさんということですけど、普通の人は簡単にはその地位にはなれませんから、何かのツテやコネがありそうですが、二階堂行政は源頼朝の遠い親戚でした。

父は藤原南家流の行遠。母は熱田神宮司「藤原季範」の妹。なのですが、
「藤原季範」の娘「由良御前」が、源義朝の正室で、つまりは源頼朝の母なんですね。
藤原季兼
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工藤行遠=====藤原季範の妹 藤原季範(1090)
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二階堂行政(?) 由良御前=====源義朝(1123)
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行村(1155) 行光(1164) 伊賀朝光室 源頼朝(1147)
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行盛
[政所執事世襲]
※系図が崩れる場合は、画面を横にしてご覧ください
藤原季範と妹がどれだけ齢が離れるか分かりませんが、行政は頼朝より年上っぽいですね。
鎌倉幕府での役職
二階堂行政は公家(朝廷に仕える貴族)という身分なので、京都に居たのではないでしょうか?
いつ頃から鎌倉に来たのか。
1184年8月 三善康信と公文所棟上げ奉行として「吾妻鏡」に初登場
1184年10月 公文所の吉書始、大江広元の元に寄人で列席
1184年には鎌倉に居たことが「吾妻鏡」の記述から分かります。
三善康信
初代問注所執事、頼朝の乳母の妹を母とする京都の下級貴族。この人もコネっぽいですね。
政所(旧公文所)
一般政務・財政を司る役所。鎌倉幕府三3機構のひとつ(問注所、侍所、政所)。
大江広元が政所初代別当。
場所は、横大路が宝戒寺の前で小町大路に突き当たる。その左の角にあったといわれている。
役職名
別当:長官(No1)
令 :次官(No2)
執事:上級役人
寄人:雑用官
1191年 別当・大江広元に次ぐ政所令として「主計の允藤原朝臣行政」と、吾妻鏡に記載
二階堂行政は、初め吉書始に寄人で参加してたけど、政所令になって、二階堂氏は代々政所執事になりました。
正式な書類には、藤原とか平とか源とかで表記され、どこからの血筋かが分かりますね。
吾妻鏡では、主計允、主計允行政、民部丞行政、民部大夫行政、山城前司行政、なんかで書かれています。
親族が起こした「伊賀氏の変」
伊賀氏の変とは?
1224年に起こった鎌倉幕府の政変。
北条義時の死後、伊賀宗光と伊賀の方が、北条政村(伊賀の方の実子)を執権にさせようとした事件
誰しもが手に入れたい権力。
二階堂行政の子孫も、なかなか大それたことを計画してくれてます。
二階堂行政の娘婿の佐藤(伊賀)朝光がいます。
のちに、伊賀守になって伊賀氏と名乗るのですが、その娘が「伊賀の方」で北条義時の後室です。
一説には、北条義時は伊賀の方に毒殺されたとも言われています。
二階堂行政
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娘===伊賀朝光 北条時政
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伊賀光宗 伊賀の方===(継室)===北条義時====阿波局
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北条政村(義時5男) 北条泰時(3代執権)
※系図が崩れる場合は、画面を横にしてご覧ください
で、佐藤(伊賀)朝光の次男「伊賀光宗」が伊賀の変を起こし、北条政子により信濃国に流されます。
北条政村とタチンダイ
北条義時の5男。鎌倉幕府7代執権。政村流北条氏の祖。改名に常盤院覚崇。
二階堂行政の知らないところで、先祖に泥を塗るようなことをやってしまったわけですね。
政略結婚が当たり前の時代だから、鎌倉幕府の中枢にいた二階堂氏に近づき、婚姻関係を結べた佐藤氏(伊賀氏)が隙あらばと思ったんでしょうか。
二階堂氏ゆかりの地
永福寺跡|二階堂という名前の由来
1191年 行政が永福寺の造営奉行に
当時の鎌倉三大社寺の一つ「永福寺」の工事責任者に任命されてます。
ここに二階堂が建てられて、行政はこの地を得て、子孫が二階堂氏を名乗っていくという流れ。

今いる、二階堂さんの系図を辿っていくと、みんな二階堂行政にたどり着くのかもしれないですね。
・YouTubeで「永福寺跡」を見る
稲葉山城(岐阜城)
1201~1204年 二階堂行政が稲葉山に砦を築く
源頼朝が亡くなってから、鎌倉幕府の軍事目的のために稲葉山に砦を築き京都の抑えとしたようで、これが岐阜城(稲葉山城)の初代築城と言うことになっています。

つまり、岐阜城の初代築城者は「二階堂行政」。
日本100名城の公式ガイドブックには、二階堂行政?と「?」が付いてますけど(苦笑)・・・。
あの斎藤道三と織田信長がいた岐阜城と、鎌倉殿の13人の一人が(強引だけど)繋がるとはねぇ。