塔之辻|道路の積石には、幼子を鷲にさらわれた由比の長者の悲しい物語が(石碑を読む)

塔之辻|道路の積石には、幼子を鷲にさらわれた由比の長者の悲しい物語が(石碑を読む)

2020-12-24

塔之辻

今回は鎌倉市笹目町にある石碑を読んでみました。

「塔之辻」石碑の場所

塔之辻の石碑は、由比ガ浜大通りにある寸松堂を北に入った道にあります。

石碑のある笹目町は、とくに有名な史跡を有している場所じゃないため、観光客はほとんどこの道を通らないんじゃないかな?

石碑に書かれている文字は?

佐々目ヶ谷ノ東南ニ方リ路傍ニ所ユ古キ石塔建テリ
辻ニ塔アル故ニ塔之辻ト言フラン 傳へ云
昔由井ノ長者太郎太夫時忠ノ愛兒三歳ノ時鷲ニ攫ハレ追求スレトモ得ズ
父母ノ悲痛措ク処ヲ知ラス 散見セル方骨塊肉ヲ得ルカママニ是レヤ吾児ノ骨彼レヤ吾兒ノ肉カト思ヒツツ所在ニ塔ヲ建テテ之ヲ供養シ以テ其ノ菩提ヲ祈レリ 是ノ故ニ鎌倉諸処ニ塔ノ辻ト言フ所アリ
此處モ其ノ一ナリト 或ハ言フ往時ノ道標ナラント 未タ其ノ何レカ眞ナルヲ知ラス

昭和四年三月 鎌倉町青年團

笹目ヶ谷の南東方向の路傍に古い石塔が建っている 辻に塔があるので塔の辻と言うらしい。
伝わってる話によると、昔、由井の長者「太郎太夫時忠」の子供が三歳の時、鷲にさらわれて追いかけたが見つからず、両親の悲痛は大変なものだった。
アチコチにある、骨や肉を見つけると、これがわが子の骨か肉かと思いつつ、その場所に塔を建てて供養し、菩提を弔った。そのため、鎌倉にはいろんな場所に塔の辻と言うところがあり、ここもその一つである。
または、当時の道標だという人もいる。しかしどれが本当なのかいまだ分からない。

昭和4年3月 鎌倉町青年団

※間違っていたらごめんなさい。

事前知識(漢字・用語編)

:=「児」、子供、幼い子、わらべ
:さらう|つかむ、わしづかみにする、さらう
:おく、はからう|ふるまう
處:現在の「処」

事前知識(歴史編)

太郎太夫時忠

奈良時代の由比の長者ということで、由比ガ浜に石碑も設置してあります。

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笹目町の交差点にある塔の辻

塔なので高い物を想像するかもしれませんが、実際は大きな石を二つ重ねたもの。
大人が歩いていると、全く気付かないかもしれませんね。

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