相馬師常|信望の厚かった千葉氏庶流(次男)で相馬氏の祖(石碑を読む)

相馬師常|信望の厚かった千葉氏庶流(次男)で相馬氏の祖(石碑を読む)

2020-07-13

今回は扇ガ谷の住宅街の奥地(谷戸の奥)にたたずむ、相馬師常の墓の石碑を読んでみました。
埋葬されている人(特にそれが有力武士とか)が特定されているやぐらって相当珍しいことなんだそうです。

とっても厳重にガード(落石等もあるようで・・・)された「やぐら」でした(汗)

相馬次郎師常之墓(そうま じろう もろつね)

相馬次郎師常之墓

「相馬次郎師常之墓」石碑の場所

石碑に書かれている文字は?

師常ハ千葉介常胤ガ第二子ニシテ相馬氏ヲギ巽荒神ノ邊ニ邸ヲ有セシガ
元久二年十一月十五日歳六十七ヲ以テ端坐合掌ノ決定往生ヲ遂ゲ其結縁トシテ僧俗ノ人々集リ拝セシトイフ
窟中ノ寶篋印塔ハ即チ師常ノ墓ナリ

昭和七年三月建 鎌倉町青年團

相馬師常千葉常胤の第二子で、相馬氏を継いで、巽荒神の辺に邸宅を有していた
1205年(元久2年)11月15日に67歳で、正座合掌の状態で極楽浄土へ旅立った(亡くなった)。
その結縁を結ぼうと、僧侶や俗人が集まって拝んだという。
洞窟の中の宝篋印塔は相馬師常の墓と言われている。

昭和7年3月建 鎌倉町青年団

※間違っていたらごめんなさい。

事前知識(漢字・用語編)

:シ、つ(ぐ)|あとを受け継ぐ
端坐:たんざ|行儀正しくきちんと座ること。正座
:り|そのような状態のうちに
決定往生:けつじょうおうじょう|仏教用語。必ず極楽に往生する事
僧俗:そうぞく|僧侶と俗人

事前知識(歴史編)

巽荒神

寿福寺の鎮守、今の「巽神社」だと思います。

巽神社

巽神社から南側には千葉ヶ谷という地名だそうで、千葉氏の邸宅(父親の千葉常胤か?)があったと言われてます。親子で結構近いところに住んでいたんでしょうね。

現代の感覚では、親子で名字が異なるっていうのはイメージしずらいですね。。。
 親:千葉氏、次男:相馬氏 三男:武石氏、四男:大須賀氏、六男:東氏

元久二年

1205年。げんきゅう。1204-1206年。後鳥羽天皇の院政。将軍は源実朝。執権は北条義時

相馬師常(そうまもろつね)

相馬氏初代当主。1139-1205。
1189年の奥州合戦(鎌倉幕府 vs 奥州藤原氏)に参加。

父「千葉常胤」には6人の子供がいて、常胤の所領は「千葉六党」と言われた息子たちが分割して受け継ぎました。相馬師常も千葉六党の一人。

名前の通り「相馬(今の福島県相馬市・南相馬氏)」を引き継ぎました。
 ※次男相馬師常の領地:下総国相馬御厨、陸奥国行方郡・宇多郡等

ちなみに、嫡男「千葉胤正」は、千葉庄、千田庄(今の千葉県多古町)、肥前国小城郡です。

相馬師常周辺の系図

千葉常重     秩父広重
 |         ┣---------┳---------┓
千葉常胤=====秩父広重の娘     畠山重能      小山田有重
┏------╋----┳----┳----┳----┳----┓
千葉胤正  相馬師常  胤盛   胤信   胤通   胤頼   日胤
(嫡流)   |   (武石)  (大須賀) (国分)   (東)  (園城寺僧)
       |                                   
      相馬義胤

※系図が崩れる場合は、画面を横にしてご覧ください

相馬師常墓やぐら

今はなんか落石の危険があるとかで、立ち入り禁止になってます。
釈迦堂の切通しはじめ、鎌倉の史跡ってこんなのが多い。

相馬師常墓やぐら

まあ、場所が場所だけに、モノがモノだけに、そう簡単に改修とか出来ないのかもしれませんけど、史跡を見たい側の人間からするととっても残念な訳ですよ。

説明板

ここは鎌倉市指定の史跡。県や国の史跡にランクアップしたらいいのにな。

相馬師常墓やぐらの上の方にも、やぐらっぽいのが見えるんですけど、こちらも現状は通行止め。
でもそこまで行けるような石段があるので、昔は行けたんじゃないでしょうか。

相馬師常墓やぐら

相馬師常墓やぐらをYouTubeで見る

八坂大神(相馬天王)

寿福寺のすぐ南に「八坂大神」っていう神社があります。扇ガ谷の鎮守社。
ココの神紋が相馬氏の家紋「九曜」です。

昔の名称が「相馬天神」で、相馬師常が八坂神社から勧請、相馬師常も祀ったようです。
※明治時代に八坂大神になりました(神仏分離のせいでしょう)

また、佐助にある銭洗弁財天は、八坂大神の末社だったそう。

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